功山寺について

功山寺は、山口県下関市長府にある曹洞宗の古刹で、1327年(嘉暦2年)に長府毛利家の菩提寺として創建されました。正式名称を「功山寺」といい、約700年の歴史を持つ由緒ある寺院です。

国宝の仏殿と千手観音

功山寺の最大の見どころは、国宝に指定されている仏殿です。この仏殿は鎌倉時代後期の1320年代に建立されたもので、山口県内に現存する最古の建造物であり、中国地方でも数少ない国宝建造物の一つです。

仏殿は禅宗様(唐様)の典型的な建築様式で造られており、純粋な禅宗様建築としては日本でも有数の貴重な遺構とされています。一重もこし付きの入母屋造、檜皮葺の屋根を持ち、細部にわたる精緻な装飾と均整の取れた美しい姿が特徴です。

**堂内には本尊である千手観音菩薩が安置されています。**この千手観音像は鎌倉時代の作とされ、慈悲深い表情と精巧な造りで知られています。千手観音は、千本の手で一切の衆生を救済するとされる観音菩薩で、それぞれの手に様々な道具を持ち、あらゆる願いに応えるとされています。功山寺の千手観音は、長い歴史の中で多くの人々の信仰を集めてきた貴重な仏像です。

この仏殿は、建築史上きわめて重要な価値を持ち、鎌倉時代の禅宗建築の粋を今に伝える貴重な文化財として、多くの建築家や歴史愛好家が訪れています。


韋駄天像と二十八部衆

功山寺には、仏法を守護する尊像として韋駄天像が安置されています。韋駄天は仏教における護法善神の一つで、俊足の神として知られ、仏法と修行者を守護するとされています。武将のような勇ましい姿で表現されることが多く、功山寺の韋駄天像も力強く精悍な表情が特徴です。

また、功山寺には二十八部衆の像も伝えられています。(現在は、欠損等により23体)二十八部衆は千手観音の眷属として仏法を守護する28の神々で、それぞれが異なる姿と役割を持っています。これらの像は、仏教美術の観点からも貴重な文化財であり、千手観音を中心とした信仰世界を視覚的に表現しています。インド由来の神々や、日本の神々が仏教に取り入れられた姿など、多様な尊像が揃っており、仏教信仰の広がりと深さを感じることができます。


七卿潜居の間

功山寺には幕末の歴史を物語る重要な遺構として、七卿潜居の間があります。

1863年(文久3年)の八月十八日の政変により、京都から追放された尊王攘夷派の公卿たち、いわゆる「七卿」が長州藩に逃れてきました。三条実美を筆頭に、三条西季知、東久世通禧、壬生基修、四条隆謌、錦小路頼徳、沢宣嘉の七人の公卿は、一時期この功山寺に身を寄せ、潜居していました。

七卿が滞在した部屋は「七卿潜居の間」として今も保存されており、当時の様子を偲ぶことができます。この部屋は質素ながらも格式を感じさせる造りで、公卿たちが都を追われ、長州の地で再起を図った歴史の一場面を伝えています。高杉晋作の功山寺挙兵の際にも、七卿との関係が重要な役割を果たしており、幕末史における功山寺の重要性を示す貴重な史跡です。


高杉晋作と回天義挙の舞台

功山寺は建築的・文化的価値だけでなく、幕末の歴史においても重要な舞台となりました。1864年12月15日(元治元年)、高杉晋作がわずか80名の同志とともに挙兵した「功山寺挙兵(回天義挙)」の地として知られています。

当時、長州藩は保守派が実権を握り、倒幕の志を持つ改革派は弾圧されていました。この危機的状況の中、高杉晋作は功山寺で決起し、「これより長州男児の肝っ玉をお目にかける」という言葉を残して立ち上がりました。この挙兵は成功し、長州藩の運命を変え、明治維新への道を切り開く転換点となりました。

境内には高杉晋作の銅像が建てられており、当時の志士たちの勇気と決意を今に伝えています。歴史ファンや幕末好きの方々にとって、功山寺は必見の聖地となっています。


四季折々の美しい景観

功山寺の紅葉

春の桜: 功山寺は桜の名所としても知られており、春には境内が美しい桜で彩られます。国宝の仏殿を背景に咲く桜は格別の美しさで、多くの参拝者や観光客が訪れます。特にソメイヨシノやヤマザクラが見事に咲き誇り、歴史的建造物と桜の調和が素晴らしい景観を作り出します。桜の季節には、仏殿の荘厳な姿と優美な桜が織りなす、まさに日本の春を象徴する風景を楽しむことができます。

秋の紅葉: 秋には境内の木々が鮮やかに色づき、紅葉の名所としても人気があります。特にモミジやカエデが美しく紅葉し、国宝の仏殿や山門と相まって、幽玄な雰囲気を醸し出します。11月中旬から12月初旬にかけてが見頃で、この時期には多くの写真愛好家も訪れます。紅葉に彩られた境内は、時を忘れさせるような静寂と美しさに満ちています。

四季を通じて異なる表情を見せる功山寺は、何度訪れても新しい発見と感動がある場所です。
 

その他の見どころ

山門: 仏殿とともに重要な建造物である山門は、江戸時代初期の建築とされ、長府毛利家の格式を示す立派な構えです。

毛利家墓所: 長府毛利家歴代藩主の墓所があり、歴史的価値の高い史跡となっています。

庭園: 静かで落ち着いた雰囲気の庭園は、禅寺らしい簡素で美しい造りとなっており、心を落ち着かせる空間です。


アクセスと参拝情報

功山寺は山口県下関市長府川端に位置し、JR下関駅からバスで約20分、「城下町長府」バス停から徒歩約10分の場所にあります。周辺には長府の城下町が広がり、古い武家屋敷や石垣が残る風情ある街並みを散策することもできます。

境内は静かで厳かな雰囲気に包まれており、歴史を感じながらゆっくりと参拝できる空間です。国宝の仏殿を間近で見学でき、千手観音・二十八部衆(現存23体)は、特別公開時のみしか拝観出来ませんが、韋駄天像などの貴重な仏像を拝観しつつ、七卿潜居の間(入場料が必要です)で幕末の歴史に触れ、高杉晋作ゆかりの地として幕末の志士たちの思いを馳せることができます。


 

功山寺は、国宝の仏殿という建築的価値、千手観音をはじめとする貴重な仏像群、七卿潜居や高杉晋作の回天義挙という幕末の重要な歴史の舞台、そして四季折々の美しい自然が調和した、下関を代表する名所です。鎌倉時代から幕末、そして現代に至るまで、日本の歴史と文化を体現する功山寺は、訪れる人々に深い感動と学びを与えてくれます。

歴史、文化、自然、仏教美術の全てを堪能できる功山寺へ、ぜひ足をお運びください。そして、当寺にお立ち寄りの際には、高杉晋作の勇気と決意にちなんだ「勝守」や、国宝仏殿や歴史を偲ぶ御朱印帳、その他の記念品もぜひお求めください。功山寺での体験が、皆様の心に残る思い出となることを願っております。

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